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2012年5月の新譜紹介
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 ▼スメタナ/連作交響詩「わが祖国」=アンチェル指揮チェコフィル(スプラフォンCOGQ―1026=コロムビア)
 ▼ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第13番&大フーガ=スメタナ四重奏曲(スプラフォンCOGQ―1027=コロムビア)
 ▼イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ=和波孝禧(デンオンCOGQ―1028)
 ▼ブルックナー/交響曲第8番=スクロヴァチェフスキ指揮読売日響(デンオンCOGQ−1029)
 ▼ショパン/ピアノ協奏曲第1、2番=仲道郁代、有田正広指揮クラシカル・プレイヤーズ東京(アリアーレCOGQ―1030=コロムビア・デンオン)
 ▼シューベルト/交響曲第1番、ハイドン/交響曲第100番=鈴木秀美指揮山形響(エクストンEXCL−00082)
 ▼マーラー/交響曲第1番=インバル指揮チェコフィル(エクストンEXCL−00085)
 ▼ドビュッシー/交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲、管弦楽のための映像=ガッティ指揮フランス国立管(ソニークラシカルSICC1540)
 ▼林光/3つの映画音楽、ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」=長岡京室内アンサブル(モルトフィーネMF20106=N&F)
 ▼彩〜アニヴァーサリー・アルバム=前橋汀子ほか(ソニークラシカルSICC1541〜2)
 ▼レ・ヴァン・フランセ〜ベスト・クィンテット(EMIクラシックスTOCE−90222〜23)
 ▼J.S.バッハ/フランス組曲第5番、コラール「主よ、人の望みの喜びよ」、ベートーヴェン/月光ソナタ、バガテル「エリーゼのために」、モーツァルト/トルコ行進曲つきソナタ、ドビュッシー/月の光、ワーグナー/エレジー=ジャンマルク・ルイサダ(RCA・SICC10143)
 ▼ベートーヴェン/ピアノソナタ第27番〜第32番=菊地裕介(トリトンEXCL−00081)
 ▼シューベルト/ピアノソナタ17番D850、さすらい人幻想曲=高橋アキ(カメラータ・トウキョウCMCD−28256)

category:新譜紹介の目次, 11:27
スメタナ/連作交響詩「わが祖国」=アンチェル指揮チェコフィル(スプラフォンCOGQ―1026=コロムビア)
 63年1月7、10、13、14日、プラハ、芸術家の家。コロムビア―デンオンのシングル・レイヤーSACD第4回目は5点5枚。「我が祖国」は半世紀前の録音とは信じ難い明澄な響き。繊細だがび弱さが全くなく低域も充実している。当時のLPを想定したバランスなど、いっそ微笑えましい。時として堅めの音になるのは、再生装置にもよろうがSHMの特性かも知れない。一度HQなどで聴いてみたい。指揮者の卓見とオケへの伝達度が素晴らしい。愛国詩として感傷に曇ることなどさらさらなく、作品の純?音楽的な味わいを逃さず音化する。政治に翻弄された一生がもったいない。65歳でカナダで客死は痛ましい。


category:CD, 11:26
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第13番&大フーガ=スメタナ四重奏曲(スプラフォンCOGQ―1027=コロムビア)
 65年9月27日、10月6日、プラハ、スプラフォン・ドモヴィナ・スタジオ。この4人になって36年間もの長期間活動していたのだから、数多い録音の中には瑕疵もあるが、このSACDは最盛期の最上の姿を克明に捉えた名盤だ。4奏者が緊密に結びあいながら、精緻の息苦しさを越えて自在な風が吹く。これでベートヴェン後期四重奏全曲が揃ったのは実に貴重。後続企画で後期ピアノソナタ5曲に出来ればディアベリ変奏曲も加えてリリースされるといいんだがなあ。


category:CD, 11:25
イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ=和波孝禧(デンオンCOGQ―1028)
 71年2月23、24日、7月1、2日、8月26日、杉並区公会堂。11年録音のバッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータに感嘆しだが、26歳の録音も卓抜。名教師でもあった江藤俊哉の薫陶を受けて実に端正。一点の曇もない世界を展開。師のふくよかさはないが若者らしい純な思いつめた爽雑物のない清冽な魅力がたっぷりある。40年後にSACDとして再び陽の目を見る価い十分。
category:CD, 11:24
ブルックナー/交響曲第8番=スクロヴァチェフスキ指揮読売日響(デンオンCOGQ−1029)
 10年3月25日、東京オペラシティ・コンサートホール・ライヴ。細部の彫琢と悠々たる視野の広さ。堅牢な構成力が誠に見事。オケの反応も当然とはいえ鋭敏で気持がいい。おおむね全セクションの水準が高いことがSACDシングル・レイヤーで克明に聴きとれるが、一部金管にまだトゲが残っていることまで判明する。SHMの先鋭が一因かも。ともあれ当節もっとも上質なディスクであることは間違いない。
category:CD, 11:23
ショパン/ピアノ協奏曲第1、2番=仲道郁代、有田正広指揮クラシカル・プレイヤーズ東京(アリアーレCOGQ―1030=コロムビア・デンオン)
 10年8月2〜6日、東京芸術劇場大ホール。香気漂う果敢ないところもあるピアノの響き。ショパンが愛用したプレイエルと同じモデル1841年製の特性をよく呑み込んで的確に弾く仲道に感心。と同時に有田指揮オケの心得た以上の協演にも耳を澄ませたい。少数精鋭の魅力もよく出ている。フルートの名手有田は指揮者としても素晴らしい。ショパンが、あの「有名な手」でこういう楽器を弾き作曲もしていたのか、いろいろ考えさせられることが沢山あるSACDだ。

       ☆        ☆        ☆
category:CD, 11:22
シューベルト/交響曲第1番、ハイドン/交響曲第100番=鈴木秀美指揮山形響(エクストンEXCL−00082)
 11年7月23、24日、山形テルサホール。鈴木の山響客演は10年4月定期以来2度目とか。バロックチェロの名手がオーケストラ・リベラ・クランカ等の指揮で極めて意欲的上質な演奏を続けている。一方、オケは「いま日本で一番いいオケ」と言って憚らないジャーナリストもいるほど。一聴、裏切らない。極めて整えられた清冽で豊かな響き。冴えざえと伝わる活気にあふれた意欲。山形の著名な銘酒や美味桜桃は新進のオケの後塵を拝するのではないか。シューベルト終楽章に遠雷の音が収録。ハイドンの軍隊という愛称由縁の打楽器等、実在感豊かに鳴る。SACDハイブリッド。今回からエクストン・レーベルに格上げお目出とう。
category:CD, 11:21
マーラー/交響曲第1番=インバル指揮チェコフィル(エクストンEXCL−00085)
 11年11月3、4日、プラハ、ドヴォルザークホール。録音時75歳。この年齢、枯淡の域もあるし壮者を凌ぐ(意識した?)生々しさもある。インバルは自然体の大家。フランクフルト放響との全集(85〜86年)から四半世紀。全4楽章とも演奏時間は多少短くなったがテンポが早くなった感はない。(小)細工は労さないけれども細部の仕上げで年齢を感じさせずにはおかない味わいに満つ。オケもシェフの意向をよく汲みとってふくよかに応える。SACDハイブリッド盤として優秀だが、シングル・レイヤーで早く聴きたいと思う人が大勢いるに違いない。
category:CD, 11:21
ドビュッシー/交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲、管弦楽のための映像=ガッティ指揮フランス国立管(ソニークラシカルSICC1540)
 11年7月11〜20日、パリ、オペラバスティーユ・サルリーバーマン、11年9月16〜17、19日、パリ郊外アルフォーヴィル。明晰そのもの。目鼻だちが鮮やか。味つけ濃いか少しもくどくない。楽員を自由に解放しながら手綱はしっかり握っている。名匠と呼ぶのに何のためらいもない。オケもよく整備されていて気持ちがいい。「映像」など将に夜の香りや祭の日の朝の空気が聴く者を別世界へ誘う。ドビュッシー生誕150年にふさわしい優秀盤。大実力者にしては録音録画が少かった。これを機会に激増させるべし。


category:CD, 11:20
林光/3つの映画音楽、ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」=長岡京室内アンサブル(モルトフィーネMF20106=N&F)
 11年4月12日、長岡京記念文化会館。今年1月に亡くなった林光は映画音楽の雄でもあった。裸の島、眞田風雲録、秋津温泉からが追悼盤になった。「四季」各季4人のソリスト。谷本華子、高木和弘、青谷友香里、舘野ヤンネ。いずれ劣らぬ俊英集団の切れ味、快刀乱麻の完璧な演奏が生み出す生々しい描写力。ソリストが違うというより合奏体が風景の変化を見事に際立たせる。夥しい「四季」録音の最上位にランクされるだろう。


category:CD, 11:19